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バーチャルウォーターとは?
バーチャルウォーターとは、「直接利用しているのではないのだけれど、
間接的に利用されている水のこと」を言います。
それは食糧に使う水にも当てはまり、
「その食品を生産するのに必要な水の量を算定した値」も含まれます。
例えば、米は田んぼに水をはったり穀物などにも育てるのに水は必要です。
また、牛などの畜産物は直接飲む水などに加えて、
牛などが食べる肥料を育てるのにも水が必要になります。
それらは全てバーチャルウォーターです。
私たちが住むこの地球は言わば、「水の星」です。
大量の水に覆われていて、その水は様々な所で循環しています。
その中で私たち人間が直接飲むのに必要な水はごく僅かにしかすぎません。
地球に豊富にあるはずの水が、十分足りていて余っている地域もある一方で、
慢性的な水不足を引き起こしている地域もあります。
つまり、「食糧の格差」だけでなく「水資源の格差」が起こっているのです。
なぜそんなことが起こっているのでしょうか?
貧困や設備不足など、様々な原因が考えられますが、
今回はバーチャルウォーターの観点から、問題と必要な取り組みを見ていきます。
何が問題なのか?
私たちが普段食べている食料の生産には水が必要です。
最近、環境問題と共にバーチャルウォーター=仮想水の問題が
議論されるようになってきました。
バーチャルウォーターとは「食品の生産に必要な全ての水の量」ですから、
その食品が国内だけで生産されていようが国外で生産されていようが関係ないわけです。
つまり、輸入品だとその食品の生産に使われた水は生産国の水になります。
もっと言えば、輸入国は生産国の水まで含めて輸入しているということです。
考えてみてください。
もしその生産国が水不足に苦しんでいる国だとしたら?
……
本来生産国の人の喉を潤し、命を維持するためにあるはずの水を
先進国が奪っていることになるのかもしれません。
これは由々しき問題です。
日本の問題
日本の食料自給率は2020年カロリーベースで38%でした。
何とか政府も自給率を上げるように努力はしていますが、
すぐには難しいと思われます。
つまり、現在は62%を輸入に依存しているということになります。
つまりバーチャルウォーターの観点から言うと、
生産国の水を大量に奪っていることになります。
バーチャルウォーターの問題と取り組み
生産国の水を使わないようにするためには、
単純に輸入を止めればいいのでしょうが、
そんなに単純な問題ではありません。
発展途上国にとって農産物の輸出は
その国の経済を支える主な財源です。
生産国からの輸入を止めるということは、
生産国の経済を破綻させ、より貧困へと追い込むことになりかねません。
バーチャルウォーターの問題は、
生産国の生活用水を増やすことや食品ロスを軽減すること、
また輸入国は食料自給率を上げる為の施策や生活様式の改善など、
よりグローバルな視点で対策を打っていく必要があります。
輸出国のインフラの整備と援助
現在、途上国では不衛生な水が原因で病にかかり
多くの子供たちが命を落としています。
命を守るために、安全な飲料水などの生活用水の確保が急務です。
その為には、水質汚染防止対策、井戸や上下水道などのインフラ整備が必要です。
それと同時に食料の安定供給の為に、農業用水の確保も必要になります。
食料自給を外国に頼っている日本は、
それらの援助を積極的にしていく義務があるのではないでしょうか。
ライフスタイルの改善
私たちもライススタイルを改善することで、
バーチャルウォーターの問題に貢献することが出来るかもしれません。
またそうすることは私たち自身も健康的な生活を送ることにも繋がります。
みんなが積極的に地元の農産物を購入したり地産地消を意識した行動をすることは、
新鮮でおいしいものを手に入れることが出来るので健康にもいいですし、
地元産業が活性化し食料自給率の向上にも貢献できます。
また食べ残しをしない、たくさん買い過ぎないなど、
食品ロスを意識して軽減することも
「いっぱい輸入していっぱい捨てている」今の日本の
現状改善に少しでも貢献できます。
もし、その行動をより多くの人がするようになれば、
きっと大きく改善することが出来るはずです。
食品ロスの記事はこちら↓
参考サイト: 環境省 virtual water
gooddo.jp 日本のバーチャルウォーターによる問題について現状を知ろう