こんにちは、室町諭です。
みなさんは、成年後見制度という制度をご存知でしょうか?
実は、筆者の母親はもう結構な年齢なのですが、
数年前から認知症になりまして、
目が離せない状態までになったので、
今現在は実家を離れ、介護施設に入所させています。
今後の介護施設の費用や医療費などのこともあり、
住まなくなった実家の売却を考え、
どのようにすればいいか、最良の方法を探していましたら、
「成年後見制度」に行き着きました。
「うちの親は認知症はまだ大丈夫!」
「認知症になってから考えるからまだ早い!」
「うちはまだ早いから関係ない」
など、お思いの方もおられるとは思います。
だけど、御親族に近い将来、認知症などの対象になる方がおられる場合、
実は、今から利用しておいたほうがいい「制度」があります。
認知症になられる前に手続きをしておく制度です。
御親族が認知症になられてからでも遅くはありませんが、
財産の権利や相続の問題などで、本人の判断が出来なくなり、
ややこしくなる可能性がありますので、
ご本人の判断が出来るうちに制度を利用することをお勧めします。
是非、この機会に検討してみてください。
ちなみに、筆者は一人息子で財産分与は筆者だけですので、
相続する財産の多い少ないに関わらず(少ないなんて言ってません^^)、
ややこしくなることはないのですが、
それでも、実家の売却などを考えますと、
母親が認知できるうちに制度を利用すべきだったと後悔しています。
目次
成年後見人の手続きは
本人が認知症になる前にしておくほうがいい!
成年後見制度とは
認知症、知的障害、精神障害などのより、
物事を判断する能力が十分でない方について、
本人の権利を守る援助者(成年後見人など)を選ぶことで、
本人を法律的に援助する制度です。
出典: 家庭裁判所、成年後見制度パンフレットより
「成年後見制度」は二つあります。
判断力が不十分になる前の制度と不十分になってからの制度です。
成年後見人の手続きは
本人が認知症になる前にしておくほうがいい!
1.「任意後見制度」
本人の判断力が不十分になる前の制度です。
将来、判断力が不十分になった時に備えて、
あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、
自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について
代理権を与える契約(任意後見契約)を、
公証人の作成する公正証書によって結んでおくものです。
出典: 家庭裁判所、成年後見制度パンフレットより
本人の判断力が低下した時に家庭裁判所に申し立てをすると、
裁判所が「任意後見監督人」を選出します。
その時になって初めて任意後見契約の効力が生じます。
任意後見監督人の仕事は、
任意後見人がちゃんと仕事をやっているかを監督する仕事です。
「任意後見制度」にかかるおおよその費用は以下の通りです。
「任意後見制度」の費用(2018年4月現在)
公正証書作成の基本手数料 | 11,000 円 |
登記嘱託手数料 | 1、400 円 |
法務局に納付する印紙代 | 2,600 円 |
その他、本人に交付する正本等の用紙代、登記嘱託書郵送用の切手代など |
「任意後見制度」の効力は上に書いたように、
本人の判断能力が低下してから発生しますので、
早めに手続きをしておくのもいい方法だと思います。
成年後見人の手続きは
本人が認知症になる前にしておくほうがいい!
2.「法廷後見制度」
判断能力が不十分になってからの制度です。
家庭裁判所に審判の申し立てすると、
家庭裁判所が援助者として成年後見人など
(成年後見人、保佐人、補助人)を選びます。
成年後見人、保佐人、補助人は本人の判断力によります。
「法廷後見制度」の手続きの流れ
1.裁判所へ申し立て
2.調査官による事実の調査
3.本人の精神鑑定
実際に精神鑑定を行うのは全体の10%程度で、
ほとんどの場合は行われません。
4.審判
5.審判の告知と通知
6.法廷後見開始
「法廷後見制度」については、
こちらの記事をご覧ください。↓
成年後見制度の種類や手続きの方法について費用はいくらかかる?
まとめ
「任意後見制度」、「法廷後見制度」、
どちらを選ぶかは申し込みの時期によって変わってきますが、
できれば、本人の判断能力が確かなうちにされるのがベストだと思います。
もし、この記事を読んでいただいている方で、
近い将来ご自身が認知症になる可能性があると思われる方は、
御子息の為にも、ご自身が判断能力があるうちに、
ご自身の意志で後見制度の申し込みをしておくことが最良だと思います。
具体的な手続きやもっと詳しく知りたい方は、
お住まいの地域の家庭裁判所にお尋ねください。
室町諭
*成年後見人になれる人と仕事内容については、
こちらの記事をご覧ください。↓
*成年後見制度の種類や手続きの方法、費用については、
こちらの記事をご覧ください。↓