京都の祇園祭は毎年大勢の人が訪れます。
中でも、宵山から山鉾巡行にかけては、人出もピークになります。
「去年はコロナ禍で祇園祭が中止になったので、今年は行きたいな」
とあなたが思っているとしたら、
ちょっとした豆知識をお伝えしておきます。
祇園祭の山鉾を「○○鉾」「○○山」と呼んではいますが、
あなたは、山と鉾の違いって何かお分かりになりますか?
「鉾は大きくて、山は小さい」なんて思っていないでしょうか?
でも、傘鉾のような小さい鉾もありますし、
反対に岩戸山のような大きい山もあります。
そうなると、山と鉾の違いは大きさではないようです。
ちょっと分かりづらくなってきましたね。
でも、謎めいていて興味が湧いてきませんか?
そこで今回は、祇園祭をもっと楽しめるように、
山と鉾の違いについて説明していきます。
宵山で山鉾巡りをする時や、山鉾巡行を見る時に、
隣にいるあなたの大切な人に、そっと教えてあげると、
あなたはちょっとしたヒーローになれるかもしれません。
もちろん!
祇園祭を一人で見に行く人も、大勢で見に行く人も、
祇園祭の歴史を感じてもらえると思います。
目次
祇園祭の山と鉾の違いは大きさじゃない!
歴史を感じるその違いとは?
山鉾の始まり
祇園祭は疫神(怨霊)を鎮めるために行われる八坂神社のお祭りです。
疫病の原因と思われていた疫神を奇麗な飾りに引きつけて
都の外へ追い出そうとしたのが鉾の始まりです。
最初は、武器の鉾(槍)を表しただけのもので、
今のように大きいものではありませんでした。
やがて朝廷の命により、各町の町民がお金を出すようになり、
豪華さや大きさを競い合い、徐々に巨大化していきました。
山は鉾より後、14世紀、室町時代に出来たとされています。
元は人々を楽しませる為の「見せ物」として始まりました。
最初の形は、人が担ぎ、お芝居やからくり人形を見せていました。
鉾と山はそれぞれ起源や目的が違うものだったのです。
祇園祭の山と鉾の違いは大きさじゃない!
歴史を感じるその違いとは?
山と鉾の違い
鉾の特徴
鉾は屋根の上に「真木(しんぎ)」が立っていて
その先にそれぞれの鉾のシンボルである鉾頭が付いています。
重量:約12トン
高さ:地上から屋根まで約8m 鉾頭まで約25m
車輪:直径約1.9m
と大変大きなものです。
巡行時、鉾の綱を曳く「曳手」は40~50人になります。
上には人が乗りお囃子「祇園囃子」が奏でられます。
元をたどれば、鉾も現在ほど大きくない時代は
鉦や太鼓に合わせて、鉾の周りで踊りながら練り歩いていました。
その形は、現代でも、「綾傘鉾」の「棒振(ぼうふり)」と
呼ばれる踊りで見られます。
船鉾、綾傘鉾、四条傘鉾の3基は現在は「真木」がありませんが、
昔の絵や文献を見ると船鉾には「真木」と「鉾頭」が見られます。
山の特徴
山は「真木」が松の木などの常緑樹になっています。
重量は約1.2トン~1.6トンで、
人が担ぐ、「舁山(かきやま)」が多く、舁手は14~24人程です。
その中でも、岩戸山、北観音山、南観音山は曳山で
車輪がついていて大きいので、鉾のようにも見えるのですが、
上に乗っている真木は山の特徴である「松の木」です。
上にも書きましたが、山は人々を楽しませるための
「見せ物」が始まりです。
芝居をしたり、からくり人形などで人々を楽しませていました。
今でも、蟷螂山など、からくり人形が乗っている山もあります。
以上、鉾と山の特長や違いのお話をしました。
祇園祭は平安時代から1100年以上の歴史があります。
長い歴史の中では、幾度も消滅の危機がありました。
その度に、八坂神社や町衆の努力で、
危機を乗り越え発展してきました。
ここで、少し京都人の話をしますが、
人によっては、「京都は閉鎖的」という印象を
お持ちの方もおられると思います。
でも、基本的には京都人は「新しいもの好き」です。
ちょっと、とっつきにくいかもしれませんが、^^
外からくるものを拒んだりはしません。
そのことは祇園祭に来てもらって、
祭りの歴史や文化に触れてもらえれば分かるはずです。
京都と祇園祭は、歴史ある古い文化を大切に守りながら、
新しい文化を受け入れて発展してきました。
あなたも今年の夏、1100年の歴史を見届けに
京都にお越しになってはいかがでしょうか?
室町諭
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